2015年02月03日 更新
市長コラム第76回 経営戦略としての「農業改革」に期待
農業は安芸高田市にとって主要な産業であり、大切な生活の糧であります。政府は日本の農業を守るためあらゆる施策を行ってきました。米価を税により安定させる「食糧管理法」、外国米の輸入に対する「関税」、米の生産調整「減反政策」等、様々な施策を通じて守ってきた経緯があります。このことにより、中山間地域の小規模の稲作農家が救われてきた事は事実であります。我が国の農業は手厚い保護政策により、ある程度守られてきましたが、一方では農家の農業意欲の衰退、コスト意識が無くなった事もまた事実であります。また、米への依存度が高く、野菜や果実、畜産への転換が進んでいない現状もあります。
我が国の農業産出額はピーク時の1984(S59)年で11,7兆円、2012(H24)年で8,5兆円と大きく後退しました。特に政府として米政策を施したにもかかわらず、米の産出額は半減しております。その原因は、食の多様化による米消費の減少などがあげられますが、このことがさらに農家の米生産に対する意欲低下を招いています。
日本の輸出は自動車等工業製品が主であり、農作物の割合はわずか0.8%であります。このことから日本政府は基本的に、今後のTPP交渉においてあらゆる関税を自由化し撤廃する方が日本にとって有利と考えていると思います。農業が主要な産業である安芸高田市としても、TPP交渉による農産物の関税撤廃は賛成ではありません。しかし、国策として実施されるのであれば、中山間地域が生き残ることのできる、これまでとは次元が異なる対策を講じて、担い手農家とともに兼業農家が守られ、国民の生活が守られる抜本的な「農業改革」を望むものであります。政府は成長戦略の目玉として、「農業改革」を掲げ、農業分野の規制を緩和する改革を決定し、新しい「農業・農村政策」を発表しました。この改革は意欲ある農業経営者が存分にチャレンジ出来る環境を整備するとともに、農村の多面的機能を維持し、食料自給率を向上させ、「強い農林水産業」と「美しく活力ある農山漁村」の創造を目指し、美しい農山村を次世代に継承することを目標に ①農地の多面的機能を支える「日本型直接支払い制度の創設」 ②需要に応じた主食米の生産が行えるよう、環境整備を進める「水田フル活用と米施策の見直し」 ③意欲ある農業者が幅広く参画できる「経営所得安定対策の見直し」 ④農地利用の集積・集約化を加速する「農地中間管理機構の創設」の4つの改革をスタートさせました。
いずれにしても、「もう農業はダメだ」と諦めず、再生に向けて努力をすべきであると思います。TPP交渉をきっかけに、農地の集積を推進し、大規模化を図り、農業生産を高める一方で耕作放棄地の対策を有効に施し、地域全体で農業の効率を高める必要があると思います。また、農地を企業に貸し雇用・経営に参画する事も考えられます。民間会社の農地の所有を認め、企業参入を促す対策も今後のまちづくりのあり方として考える必要があると思います。
中山間地域の農地は、農産物の生産地のみならず、洪水調節や環境保全の多面的機能を有する事を国民にPRし、もっともっと若者に中山間地域の良さを理解して頂き、訪れて頂き、体験して頂きたい。都市から田舎へU・Ⅰターンを希望する若者は増加傾向にあります。
若者に魅力ある安芸高田市を創生し、多くの若者に帰って来て頂きたいと思います。
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