2015年02月03日 更新
市長コラム第74回 今後の安芸高田市の危機管理(広島市北部大災害を教訓にして)
今回、広島市北部を襲った豪雨は、日本海にある前線の中に、南の暖かく湿った空気が流れ込み、局地的に雨雲が発達し、これが豪雨をもたらしたと言われています。広島県の土壌は、花こう岩が風化して出来た「まさ土」で、水を含むと崩れやすい性質があり、大変に脆弱な土質であります。
1999年6月広島・呉を中心として、32名の死者を出す大きな災害いわゆる「6・29豪雨災害」がありました。この災害を機に2001年に「土砂災害防止法」が制定されました。この法律で、県は危険個所の調査を行い「警戒区域」を指定すること、また市は「ハザードマップ」を策定することを義務づけられています。「警戒区域」の指定には、住民の同意が必要ですが、地域イメージや土地価格の下落等の理由で同意を得ることが困難という状況があります。この度の被災地(八木・山本・緑井)においても、半数以上の地域が「警戒区域」に指定されていませんでした。今回も「6・29豪雨災害」と同じメカニズムで土石流が発生したにもかかわらず、この法律の機能が発揮出来ず、この教訓が生かされなかった事は、如何なる理由があろうと、広島市のみならず、私ども市政を預かるものとして、反省すべきことと思います。
また、最近の豪雨は地球温暖化の影響なのか、局地的な発生が多くなっています。今回の豪雨も広島県全体ではなく、広島市北部を中心としたものでありました。地域全体での豪雨であれば、気象台の予報が的確に活用できますが、局地的な豪雨については、自治体が迅速に把握することが困難であります。気象庁は、「注意報」、「警報」及び「特別警報」の情報を発信します。この度の、広島市北部災害は、70人以上の死者を伴う甚大な災害で「特別警報」レベルの豪雨によるものでしたが、局地的であったため「特別警報」に該当しませんでした。
安芸高田市における、最近の降雨状況ですが、7月19日向原町において時間雨量125㎜、8月20日八千代町において時間雨量61㎜を記録しています。幸い安芸高田市では、地盤が飽和状態で無かったことや、山林部のため、被害が少なかったのですが、状況によれば大災害が発生する可能性は十分にあったと思います。ちなみに、大災害の起こった8月20日の広島市三入における時間雨量は121㎜でした。
安芸高田市は、今回の災害対応として「第1次警戒体制」の段階で、各支所に「避難所」を設置しました。市民の皆様が自分の危険を前もって予知され、積極的に自主避難をされましたこと、非常に心強いことだと思いました。市民の皆様の防災に対する関心が高まったと感じています。今回の、広島市北部災害は、他人事ではなく、気象庁、国、県からの的確な情報収集は無論のこと、地域住民からの情報収集、危険区域及びハザードマップの見直し、避難勧告・避難準備の徹底等について再検討する余地があると、認識を新たにしたところであります。
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