2015年10月20日 更新
市長コラム第87回 人口ビジョンから観る安芸高田市創生
安芸高田市では、国の「まち・ひと・しごと創生長期ビジョン」並びに「総合戦略」の趣旨を踏まえ、本市における人口の現状分析を行い、人口に関する認識を市民の皆様と共有する中で、本市が今後目指すべき将来の方向と人口の将来展望を示すため「安芸高田市人口ビジョン」並びに「まち・ひと・しごと創生総合戦略」を策定しました。
本市の総合戦略を策定するに当たっては、言うまでもなく国の総合戦略を勘案することが必要であります。国の長期ビジョンでは、人口の現状分析と将来展望の策定に際し、人口減少が経済社会に与える影響の分析や、人口減少に歯止めをかける「積極戦略」と、人口減少に対応する「調整戦略」を同時に推進することが大切とされています。
また、移住の希望や若い世代の就労・結婚・子育ての希望など、国民の希望の実現に向け全力を注ぐ等の視点を提示されています。
本市の人口ピラミッドをみると、全国では団塊の世代と団塊ジュニア(30〜39歳)の人口が多い「ひょうたん型」であるのに対し、安芸高田市の現状は、団塊の世代と昭和一桁生まれの女性が多く、団塊ジュニアの山が比較的小さいのが特徴であります。
とりわけ、高校や大学進学時に若年世代の市外転出が大きく影響し、特に20〜24歳の人口は極端に少なくなっています。これら若年層の減少が、本市の人口減少を加速するひとつの大きな要因と思われます。本市では、1975(昭和50)年以降人口減少が続いております。そして高齢化率は着実に増加しています。2000(平成12)年には高齢化率は30%を超え、2015(平成27)年では37%と高い水準にあります。このことは、人口減少と少子高齢化が着実に進んでいることを表しています。
人口増減は自然動態(出生-死亡)と社会動態(転入-転出)の二つの要因に基づきます。本市の自然動態について分析すると、出生数は、1980(昭和55)年以降、出産年齢人口の減少に伴って、2013(平成25)年には、ピーク時と比較して約6割が減少しました。
一方、死亡数の推移は多少の増減はあるものの、大きな変化は見られません。しかしながら高齢者人口は着実に増加してきており、今後更なる増加が見込まれます。
国立社会保障・人口問題研究所による本市の将来推計人口によると、今後10年間の自然動態による人口増減は約2,700人の減、つまり1年間では約270人(平均値)の人口減と試算しています。また、社会動態による人口増減は10年間で約1,000人の減、つまり年間約100人(平均値)の人口減となります。自然動態の減と社会動態の減を合わせると、10年間で約3,700人、年間約370人の人口が減少することになります。
この本市の「人口ビジョン」に基づき策定した「安芸高田市まち・ひと・しごと創生総合戦略」では、まちづくりの基本となる「第2次安芸高田市総合計画」において設定した目標人口を踏襲し、5年後の2019(平成31)年の人口28,100人を28,500人(+400人)に、10年後2024(平成36)年の人口26,300人を27,500人(+1,200人)にするとして、本来の自然趨勢(すうせい)による推計値より高く設定しました。
この目標人口の達成のための設定条件としては、①自然動態の減少幅を抑制する施策として、合計特殊出生率を国が設定した国民希望出生率である1.80に引き上げる(現在は1.66)。②社会動態の減少幅を抑制する施策として、現在約200人の転出超過となっている10〜19歳の若年世代の移動率を30%(約140人)改善する。③U・Iターンの促進として、子どもを連れてのU・Iターン等を年間12組成立させる。
以上、これらの設定条件を満たせば、結果の考察として10年後の目標人口である2万7,500人が達成できることになります。厳しい設定ではありますが、職員が一丸となって、この課題の解決に向かって努力し、市民の皆様のご協力が得られれば、実現は可能と思っています。
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