2015年02月17日 更新
市長コラム第68回 陰陽神楽街道「神楽メロディーロード」
広島県安芸高田市と島根県邑南町は、古くから県境を越えて、教育・文化を共有し、お互い支えあい協力して来ました。また、安芸高田市の神楽は、出雲流神楽(儀式舞)から石見神楽(能舞)を経て、江戸期に安芸高田市に伝えられたと言われています。その伝承ルートの一つが「主要地方道吉田邑南線」であります。一昨年、4月邑南町の久喜地区のお祭りで、溝口島根県知事と石橋邑南町長にこの事をお話させて頂く中で、「主要地方道吉田邑南線」を「陰陽神楽街道」と命名する事を快く了承して頂きました。後日、湯崎広島県知事にこの事を報告し、了解して頂き、同年、10月に「文化・スポーツ及び観光交流協定調印式」と合わせて「陰陽神楽街道」の命名式を行いました。
「陰陽神楽街道」の命名を契機に、安芸高田市と邑南町の災害時の協力はもとより、神楽を中心とした様々な文化や行事、イベントを通じての交流を強化し、地域間交流の促進や新たな観光資源として「陰陽神楽街道」を活用し、町づくりを推進して行きたいと考えております。
私は、50年前に高校の修学旅行で北海道の知床に行きました。オホーツク海と知床半島を見下ろす道路を通過するとき、タイヤが奏でる舗装面から、「知床旅情」のメロディーが流れて、旅情に浸った思い出があります。このことを「陰陽神楽街道」の事業の一環として、広島県のご理解とご協力により、当該路線に案内標識を設置して頂くとともに、神楽の囃子を奏でる「メロディーロード」を施工させて頂きました。メロディーロードは、タイヤと路面の接触音を利用し、路面に施工した溝間隔の長短や溝の太さなどを変えることで、走行時に曲、又はメロディーを奏でるものです。通常は、流したいメロディーの楽譜を、路面を切断する機械がプログラムして溝を切削しますが、神楽の奏楽(笛・鐘・太鼓)には楽譜がありません。楽譜の無い神楽の演奏のプログラム化や走行時の接触音のみでの3楽器の演奏の再現は大変に困難なものがありました。
このことに関して、一昨年、安芸高田神楽東京公演に招待いたしました学習院大学 川嶋辰彦名誉教授は、楽譜がないのに、笛・鐘・太鼓が舞手と呼吸が合っている事に疑問を持たれました。この疑問を解決するため、わざわざ東京から安芸高田市に来られ神楽の練習(上河内神楽団)を拝見されたそうです。舞い手の生身の所作と心意気を直接肌に感じながら奏でる笛・鐘・太鼓を見て、納得をされたと聞いています。
さて、この楽譜の無い神楽の奏楽をメロディーロードに使用したいと、広島大学大学院教育学研究科音楽文化教育学講座(作曲)の徳永崇准教授に相談させて頂きましたところ、川嶋名誉教授の話にも大変共鳴され、大学でのご自身の研究・講義とは全く異なる分野であるにもかかわらず、神楽の楽譜化(プログラム化)やメロディーロードとしてのアレンジを快諾して頂きました。道路で奏でる、安芸高田市の神楽に対する熱き思いが全国に広く伝われば幸いであります。
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