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2015年03月04日 更新

市長コラム第56回 「TPP」参加の課題

 先般日米首脳会談において共同声明が発表されました。日米両政府が環太平洋経済連携協定「TPP」に関する交渉に参加する旨の内容でした。日本政府は、全ての関税撤廃を前提としないという条件を米政府が了承した上での参加との事でありました。

 「TPP」交渉は環太平洋圏の、米国やオーストラリアなど11ヶ国が参加し、ユーロ圏と同様に関税を撤廃し、自由貿易を推進するものであります。ただ、各国いろいろな事情があり、交渉は難航する恐れがあります。我が国においても、賛否両論あり、国民の関心度は非常に高いものがあります。反対の立場としては関税撤廃により農業が打撃を受け、農地が荒れて環境破壊に繋がる。また、安い輸入品が増え、国内の中小企業が打撃をうけるなどがあります。一方賛成の立場としては、貿易の自由化は世界の流れで、今後の日本にとって不可欠の課題である。また、安い価格での輸出の機会が増え、中国や韓国などと対抗出来る条件が整うなどであります。日本の輸出額は農産物が0・5%と圧倒的に農産物以外が多いのが現状であります。

 政府は、関税を撤廃することで、自動車等の輸出が増大し、日本企業の国外への流出が少なくなると見込んでいます。また、内閣府は国民総生産(GDP)が2・7兆円引き上がると試算しています。反面、国内の農業にとっては競争力の弱い品目を中心に打撃を受け、「TPP」参加により、現在10兆円の農林水産の生産額が3・4兆円に下がるとの見込みもあります。

 安芸高田市は、農地・山林が約88%を占める典型的な農林業主体のまちであり、私は、いかなる状況に国があろうと、農林業を守って行く必要があると思っております。政府は今日まで米・麦に関税をかけ農業を守って来ました。全ての品目の関税を撤廃すると言う米国の建前論に最後まで抵抗して、競争力の弱い農林業を守っていただきたいと思っております。安倍総理とオバマ大統領との「全ての関税撤廃を前提としない」という確約が破られない様にしていただくことを願います。

 「TPP」による関税撤廃を今後の日本の成長戦略として実施するのであれば、農産物の自由化に対する国民の不安を取り除くことが大切であります。農業を日本の緊急時における食料の自給や耕地の荒廃を防ぐ環境効果等の幅広い見地から見直し、農家への一時的な補償措置や国内農業の競争力を高める抜本的な対策を講じていただきたいと思います。

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