2016年04月28日 更新
市長コラム第93回 子育て支援の課題と効果
戦後、出生数が急増した頃、日本は貧困や感染症などで、家庭での子育てが困難な時代になり、救済措置として保育所・乳幼児園が設置された経緯があります。
高度成長期には、女性の労働力需要が増大し、保育所・乳幼児園の必要性が高まりました。低成長期時代の現在でも、住宅・教育費等の負担増により、共働きが多く、家庭での保育時間が短くなり、保育所・乳幼児園の充実が求められています。
子育てには、「親が子供を育てる」「子供たち自身で育て合う」「親自身が子供に育てられる」という三つの側面があります。特にこれからは、子供たち自身で育て合い、親自身が子供に育てられるという視点を持つ事が大切です。そしてこれからは、「子供を育てることを通して、子供も育ち親も育つ、親同士が結びついて地域のコミュニティーを豊かにしてゆく」ことだと思います。
以前は地縁・血縁に支えられた伝統的な地域のつながりが残っており、地域の文化や伝統芸能の担い手が存在していました。しかし現在、生活の個人化が進み、働く人々の姿が地域で見えなくなり、いまや家庭そのものまで空洞化の危機にさらされています。何よりも地域の中に若者の姿が見えず、独りで楽しめる娯楽の普及により、子供同士の遊びも成り立たない状況があり、地域で集まって遊ぶ子供の集団を見かけなくなりました。
子供の集団づくりを進めることは、相互の安全を守り合い、互いに学び合い、育ち合い、鍛え合うことにつながり、地域づくりに欠かせない要素になると思います。子育てを家庭だけの問題とせず、地域との関わりに目を向け、子供を取り巻く人間関係の多様性(仲間関係・異年齢集団・若者青年・家族)、地域活動(町内会・年中行事)、地域文化の継承(伝統文化・芸能・スポーツ・体験活動)、専門家による支援(医師・保健師・教師・行政職員)等の地域の〝子育て力〞を活用する事が必要です。さらには、子供と若者世代との関わりは子供達の活性化につながり、親にとっても若者の姿に育ちゆく我が子の明日の姿が見え、子育ての指針となります。成長過程の若者は完成された大人とは異なり、子供達の生きた手本としての魅力があります。
地域づくりには、子供・若者・大人・高齢者をつなぐ人と人との新しいネットワークづくりが不可欠であり、「つながり・ささえあい」の創造こそが地域力復活のカギとなります。 安芸高田市では、子育て支援を人口減対策・若者定住に不可欠な課題として捉え、三人目の子供から保育料を無料としていますが、県内の市町に先駆けて保育料の無料化に向けた検討をする事としています。財政、保育士の確保等の課題がありますが、現行の保育体制を、ファミリー・サポートセンター事業、子供の一時預り事業等、行政は基より、地域の皆様の総合力を結集して、考えて行きたいと思っています。
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