線刻十一面観音鏡像（高宮町）

この鏡像は、径23cm、縁の厚さ0.3cm、重さ650g、鋳銅製の形で上部左右に掛けるための吊り手がついています。鏡面に蓮弁の台座に結跏趺坐（けっかふざ）する十一面観音が鈎彫りで現されています。裏側は無文・無記銘のため制作年代は判りませんが、鏡像の専門家によると、全体に伸びやか、おおらかな表現で、全体的な印象から平安末期の作と考えられるとのことです。
重要文化財に指定されている保元2年（1157）の銘のある木次の径20.9cmのものよりやや大きいものです。
この種の鏡像は出雲地方に比較的多いものですが、今のところ郡内はじめ近郷ではこのような鏡像は報告されていません。そのことからも貴重な鏡像といえます。

指定年月日：平成15年5月19日

所　在　地：高宮町川根